建築や土木、消防、自衛隊、行政といった分野の防災専門家が目的としているのは命を守ることです。高校や中学、あるいは小学校や幼稚園、保育園で行う防災教育の目的も命を守ることです。この「命を守る」という視点があれば、どんな教育も防災につながります。「防災=避難訓練」といった図式からちょっと飛び出して、工夫次第ではどの教科も、どんな取り組みも防災になるといった視点で防災教育を考えて見ましょう。
災害は自然環境と社会環境の両方が重なったときに起こります。砂漠の真ん中での干ばつや太平洋の真っ只中の台風、人が住んでいない地域での地震などは単なる自然現象であって、災害ではありません。自然現象が発生している地域に社会があってはじめてそれが災害となります。その社会の防災力の強弱が災害の大きさを左右することは、近年のイランやアフガニスタン、アルジェリア、インドなどの地震で明らかです。災害を考えるときはこのように自然環境と社会環境の両方を考えなければなりません。ということは、この両方の分野で学ぶことはすべて、つまり学校で学ぶことはすべて、防災となんらかの関係を持っているといえます。
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